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冷却水(クーラント液)は車にとって大事?冷却水の状態は車検時に影響するのか?

投稿日:2020/12/28

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冷却水は、車検の時に点検する項目なのでしょうか。定期的な整備・点検をしている人は、整備士からクーラント(冷却水)の交換、補充などを提案されたことがあるかもしれません。特に車検の際に交換や補充の提案があることが多いので、車検時に冷却水の状態が悪いと通らないのかもしれないと思う人がいるのではないでしょうか。 今回は、車検と冷却水の関係性についてご紹介いたします。

そもそも冷却水とは

冷却水は、車の心臓とも言えるエンジンを冷やす為の液体です。通称、ロング・ライフ・クーラント(LLC)と呼ばれ、ラジエーターという部品や冷却通路に入ってエンジン内の熱を下げる役割があります。稼働中に熱くなるエンジンを適度な温度に保つことで、走行性能を保ちます。また、冷却水の働きでエンジン内部の錆びを抑える目的もあります。

エンジン内部は、約800℃もの温度になります。800℃で動かし続けているとオーバーヒートという人間でいう発熱状態になり、故障に繋がるので大変危険です。そのため、冷却水で冷やし適正な温度を保ち続けます。安全に車を動かし続けるためにとても重要な部分でもあります。 冷却水はエンジンルーム内の白い不透明のプラスチックケース(リザーバータンク)の中に入っているので、ボンネットを開けると確認できます。メーカーによって、冷却水の色合いが異なり、主にピンクや緑色など分かりやすい色合いですが、劣化すると茶色っぽく変色します。

冷却水の交換・補充は必要?

冷却水は、エンジン内部の熱を下げている間に液量が減ります。また交換しないと劣化もする液体です。その為、冷却水を定期的に交換・補充することが必要です。高温になっているエンジン内部を冷やすので、微量ですが蒸発するため徐々に冷却水が減っていきます。冷却水の中には、不凍液・防腐剤・防錆剤が含まれています。氷点下になっても冷却水が凍らないのは不凍液が含まれるからです。防腐剤・防腐剤が含まれているなら劣化しないのでは?と思うかもしれませんが、冷却水は消耗品なので長く使っていれば劣化はします。あくまでも、防腐剤・防錆剤のおかげで劣化しにくいだけです。

走行中に熱くなったエンジン内部を冷やすための液体なので、走行距離に応じて劣化する速度や度合いが異なります。冷却水が劣化してしまうと熱を下げる働きが低下してしまいます。エンジン内部の熱が上がっていくとオーバーヒートに繋がり、最悪の場合はエンジンから白煙が出てしまいエンジンがかからなくなってしまうかもしれず大変危険なので、定期的に冷却水の補充・交換をしましょう。

冷却水の交換・補充方法

冷却水は、ホームセンターやカー用品店などで売られているので、ご自身で交換・補充することができます。希釈タイプと原液タイプの2種類があるので購入の際は注意しましょう。購入した種類によって、水で薄める必要があるか、ないかが変わります。 補充・交換する時は、エンジンが止まって冷えているか確認します。高温状態だと、ラジエーターキャップが高温になっている・キャップを外した時に高温になった冷却水や水蒸気が噴き出すので危険だからです。

補充はリザーバータンクの目盛りを見て、残量と入っている冷却水の色を確認し、エンジンが冷えた状態で適正量まで入れ補充します。希釈タイプでは、別の容器で冷却水を希釈してから補充します。 交換する場合は車をジャッキで持ち上げ、ラジエーターの下に潜って作業しまなければなりません。エンジンルーム内の狭い作業となり、交換後のエア抜き作業はメカニックでも非常にシビアに行う作業でもあるため、自身で作業されることはあまりおすすめしません。抜き取った廃冷却水の処分にも困ると思いますので、冷却水の交換は整備工場へお願いする方が良いでしょう。

冷却水が無い状態で走り続けたら?

冷却水の液量が足りない時は、すぐに補充しましょう。 補充しておかないと、エンジンの温度を適正に保てず、オーバーヒートする可能性が高くなります。冷却水は自然に蒸発して減っていきますが、減る量は年間でもわずかです。それにも関わらず、液量が極端に減っている現象が起こった時は、すぐに点検をしましょう。冷却系統のどこかから漏れているかもしれません。

オーバーヒートが引き起こされた時は、エンジン内部から異音が聞こえ、冷却水があふれて白煙が出ます。そして、エンジンが停止してしまい車が動かなくなります。スピードが出ている時は徐々に失速しますが、走行中にエンジンが停止してしまうとブレーキの力が弱くなり危険な状況になってしまう可能性があり、特に注意が必要です。

車検では冷却水が検査項目に含まれるのか

車の使用頻度や走行距離に比例して劣化していく冷却水は、車検の検査項目に含まれるのでしょうか。 答えは車検の検査項目に冷却水の項目は含まれておらず、劣化した冷却水が入っているから車検に通らないことはありません。ただし、冷却水が漏れていると車検に通りません。劣化した冷却水を使用し続けることは冷却水漏れの原因になるため、早めに交換しましょう。

冷却水の交換時期・点検時期は?

冷却水は、どれくらいのタイミングで交換したらいいのでしょうか。冷却水の色合いを見た時に、緑やピンクなどの明るい色ではなく、茶色に劣化している場合はすぐに交換しましょう。劣化したままの冷却水を使い続けていると冷却回路が錆びて詰まってしまい、オーバーヒートを引き起こす可能性が非常に高くなります。 交換するタイミングは、車検と同様の2年間がオススメです。長期間使える冷却水もあるので、一概に2年で交換が推奨と断言できませんが、種類によって説明欄に交換するタイミングが記載されていると思いますので確認しましょう。(スーパーLLCでは、新車使用時、16万キロもしくは、7年を目安に交換することが推奨されています。)

冷却水の点検は運行前に量の確認をしておくことをおすすめします。残量があまりにも少ない場合は、エンジンルームの内部で破損している部品があるかもしれませんので、走行しない方が良い場合もあります。汚れ具合は3ヵ月~半年を目安に、冷却水の色合いなどを点検しておきましょう。

日頃、注目すべきポイントは?

日頃の運転では、水温メーターに注目しましょう。水温計を見ると、「C」と「H」の表記があり、走行時は通常CとHの中間を示しています。Cは、クールなので冷えている状態で、反対にHはホットの表記なのでメーターの針がHに近い時は要注意となります。もしかするとエンジンルームから白煙が上がっているかもしれませんので、その際は安全な場所に停車させエンジンを停めましょう。そして、JAFなどを呼んで対処してください。白煙が出ている時は、ボンネットを開けてはいけません。エンジン内部が高温になっているので、火傷などの怪我をする場合があります。

まとめ

冷却水は、車を安全に乗り続けるためにとても大切なものです。冷却水が少ないとオーバーヒートを引き起こす原因となってしまい、冷却水が劣化した状態だと、冷却回路の錆びを発生させてしまうなどオーバーヒートの原因を作ってしまいます。車検の検査項目に含まれませんが、定期的に交換・点検が必要となり、冷却水の交換は2年ごと、点検は3ヶ月~半年ごとにすることがオススメです。 安全にドライブをするためにも冷却水の定期的な点検・交換を忘れないようにし、冷却水の状態を見て分からない時や異常がみられた時、交換をお願いする際は整備工場へ依頼しましょう。

[Dr.輸入車ドットコム編集部]

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