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整備
エンジンから?ノッキング音ってなに?解決方法を整備士が答えます
投稿日:2019/10/02
乗っているのはガソリン車なのに、急にガラガラと旧式のディーゼルエンジンのような音をたてることがあります。非常に不快なこのノッキング音はどうしておきるのでしょう。また、その解決法はあるのでしょうか。
ガソリンエンジンで異音が発生してしまう状態とは
低速走行の状態から、アクセルペダルを大きく踏み込んで急加速した時などに、エンジンから「カラカラ」「キンキン」あるいは「ガラガラ」というような音がすることがあります。これを「ものを打つ(ノック)」ような音であることから「ノッキング」音と呼びます。
ノッキングの原因
低回転でアクセルペダルを踏み込んだ瞬間というのが多く、高回転まで回していく時に音が出たりする場合もあります。また、ガソリンのオクタン価が低いなどの条件で発生しやすくなります。どちらにしても正常な燃焼をするのではなく、未燃焼混合気が自己着火する異常燃焼によって起こり、大きな圧力波が燃焼室壁を加振することでノッキングを発生させます。
ノッキングが発生しやすくなるのは、高圧縮エンジン、過給器付き(ターボなど)エンジン、燃料のオクタン価が低い、燃料の量が不足している、点火時期が早すぎる、点火不良合、吸気温度が高温になる、エンジン温度が高くなった場合などが考えられます。
ノッキングは異常燃焼なので、音とともに振動も発生するのですぐに異常な状態であることがわかるはずです。また、低回転時の軽いノッキングであれば、短期間なら構造的な実害はありませんが、高回転時のノッキングや強いノッキングは、ピストンや燃焼室の焼損、シリンダーヘッド本体の損傷を引き起こすことがあります。しかも、性能や効率を考えるとノッキングが発生する直前の状態がベストなので、ノッキングセンサーがノッキングを検知するとコンピューターが点火時期を補正するような仕組みとなっています。
ノッキングの仕組み
ガソリンエンジンではシリンダーの中の混合気に、適切なタイミングで点火プラグによって燃焼させます。しかし何らかの原因によって点火プラグとは無関係に燃焼してしまうことがあります。それがノッキングの正体です。原因としては、インジェクションの場合はセンサーの異常、キャブレターの場合はセッティングのずれが考えられます。いずれの場合も修理工場へ持ち込むことが望まれます。
ノッキングが発生しやすい条件とは混合気の圧力も温度も高い状態であるため、エンジンの圧縮比が高いと当然ノッキングが発生しやすくなります。エンジンの圧縮比は高いほど燃焼効率が良くなります。マツダが14.0というガソリンエンジンの上限といわれる高圧縮比を可能にして注目されましたが、ノッキングの限界を引き上げるにはかなり高度な設計が必要になり、直噴というシステムがひとつの解決策とされています。
低回転時にはエンジンにとって不安定な燃焼状態なので、加速する瞬間にはさらに燃焼は不安定になってしまいますが、燃料が少ない状態なのでエンジンを破損するようなノッキングになる可能性は高回転時より少ないと言えます。 しかし高回転では、ノッキングは一気にエンジンを破損させるものになりえます。しかし、高回転では燃焼回数も多く、燃焼自体は安定しているはずなので、ノッキングを検出して補正するので冷却をしっかりしていれば回避できるはずです。
ノッキングが出た場合の対処法
原因としては何らかの原因で不完全燃焼を起こし、燃焼室にカーボンがたまったことによるケースもあり、あまりエンジンを吹かさない運転をしている場合は燃焼室にカーボンが溜まりやすくなってしまうので、その場合はエンジンをしばらく吹かしたり、高速道路などいつもよりエンジン回転が高くなる環境で走行することでカーボンを除去する効果もあります。
また、燃料添加剤を燃料タンクに投入する方法があります。燃料添加剤には、エンジンの洗浄効果があり燃焼室のカーボンをきれいにします。また、オクタン化の高いプレミアムガソリンにも洗浄剤が添加されていますので、レギュラーガソリンからハイオクガソリンに変更することで徐々に解消されるケースもあります。
しかし一時的ではなくノッキング音が出続ける場合には、他の原因なども考えられるので、ディーラーや整備工場などで点検してもらうことが必要です。そのまま放置しておくと、大きなトラブルにつながる可能性もあるので、なるべく早めに必要な対策をとった方がいいでしょう。
ディーゼルは常にノッキング状態
ノッキング音といえばディーゼルエンジン車です。特に古い設計のディーゼルエンジン車が「ガラガラガラ」という独特の不快な音を出しますが、これはまさしくノッキング音です。もともとディーゼルエンジンは燃焼室内の温度と圧力によって燃焼を始める、自己着火という燃焼方式で燃焼させており、点火プラグを用いていません。つまり常にノッキングしているのです。
現代のコモンレール式というディーゼルでは、高圧の直噴システムが採用されています。それにより、自己着火という燃焼を上手くコントロールするために、低回転では短い時間で細かく何度も噴射できる高圧の直噴システムがきわめてうまく機能していて、ノッキング音が小さくなっています。
そのディーゼルの「ガラガラガラ」という音も、低回転でアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に出ます。ガソリンエンジンよりディーゼルエンジンのほう高圧縮比のため音も振動も大きく出ますが、最新のディーゼルエンジンは圧縮比が低くなっていて、外に出るとやはり特有の音が感じられますが、車内ではガソリンエンジンと変わらないくらいの音と振動になっています。
まとめ
ノッキング音だけでなく、普段とは異なる音や振動は重大なトラブルの前兆と思って間違いありません。場合によっては各種センサーの異常である場合も多いのですが、そのままにしておくと新たなトラブルを引き起こすことになります。「おかしいな?」と思ったら出来るだけ早く修理工場へ行って相談することが重要です。その場合、どんな時にどんな音がするかを正確に伝えることが出来れば、早期に必要な対策ができるので注意して観察することも必要です。
[Dr.輸入車ドットコム編集部]