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整備
車検の条件とは?車検合格への道のりを詳しく解説
投稿日:2019/03/11
クルマを所有している期間、定期的に受けなければならない検査が車検です。
整備工場やディーラーさんに車検を依頼しているケースもあれば、ユーザー車検で車検費用を安く抑える方もおられるかもしれません。場合によってはカスタマイズをしていて車検に通るか不安になる方もいるでしょう。
今回は車検をクリアするためにはどんな条件があるのか詳しく解説していきます。
車検合格の条件
法律により義務づけられている車検制度。実は車検に合格するためには厳しい条件がいくつもあるのです。
詳しい解説をする前にそもそもどのようなパーツを車検でチェックされるのでしょうか。
車検でのチェックパーツは「灯火類」「エアロパーツ」「フェンダー」「バンパー」「タイヤとホイール」「サスペンション」「運転席まわり」「シート」「ウィンドウ(窓ガラス)」「マフラー」と大きめに分けても10項目に分類されます。
では、それぞれのパーツのどこをどのようにチェックするのか詳しく見ていきましょう。
灯火類
灯火類にはヘッドライト(前照灯、ロービーム、ハイビーム)、スモールライト(車幅灯、ポジショニングライト)、ウインカー、フォグランプ(霧灯、フロントフォグランプ、リアフォグランプ)、バックランプ(後退灯)、ブレーキランプ(制動灯)の6種類がありそれぞれにルールがあります。
ライトの色、明るさ、角度、視認性、照射範囲、点灯回数、装着位置などが法律により細かく定められており、自車の存在を周囲に認知させる役割と自車走行中の安全に直接関わる装置である灯火類の規定は非常に厳しいのです。
灯火類つまりライト関係のカスタマイズやバルブ交換をしている場合には車検の基準である保安基準に適合しているかどうかを確認しておかなければなりません。灯火類に共通している規定もあり、レンズ表面にキズやひび割れがあり内部の光が外に漏れている場合には車検をクリアすることができません。
エアロパーツ
エアロパーツにはフロントスポイラーなどのフロントエアロパーツ、サイドスカート、リアスポイラーなどが存在します。
クルマのカスタマイズをするときにエアロパーツを装着するオーナーは多いでしょう。しかしエアロパーツは出っ張ることもあるため検査官によって度が過ぎたエアロパーツはNGを出す可能性もあります。
フロントスポイラーなどフロントエアロパーツの場合、衝撃吸収力と強度がチェックされます。エッジは半径5mm以上の丸みがあるかどうか、もしくは消ゴムよりも柔らかくなければなりません。万が一衝突したときに歩行者に重症を負わせてしまう可能性のあるフロントエアロパーツは車検不合格となります。
リアスポイラーは規定の範囲内(165mm以上内側)に収まっているかどうか、もしくは規定の範囲未満(165mm未満)の場合には衝撃を緩和できる構造になっていることが必要になります。リアスポイラーがあまりにも尖っていたり後方視界の妨げになるものはNGです。
気軽にクルマの雰囲気を変えることができるエアロパーツですが車検のルールを知っておかないと自作エアロパーツが車検に通らないということも考えられます。
バンパー
バンパーはフロントバンパーとリアバンパーの2つがあります。
フォグランプ付きのフロントバンパーの場合には地面からバンパー下までの高さが最低90mm空いていなければなりません。
リアバンパーの場合は赤い反射板いわゆるリフレクターを取り付ける必要があります。カスタマイズのひとつとしてリアバンパーに装着されているリフレクターを発光するタイプに変えることもあると思いますが基本的にリフレクターを光らせることはNGです。一部の発光式リフレクターは保安基準に適合しているパーツもあるようですが、リフレクターを発光式や社外品に交換しているだけで車検が通らないケースもあるようです。
タイヤとホイール
タイヤとホイールの保安基準も厳しい規定が定められています。
近年、法律の改正によりフェンダーから10mmまではみ出して良いという規制緩和がされましたが、緩和されたのはタイヤ部分のはみ出しのみ。つまり扁平率の低いタイヤなどの補強となる部分やタイヤブロックなどのラベリング部分だけがはみ出して良いというこということなのです。よってフェンダーからホイールがはみ出しているのはNGのままなのです。
タイヤの保安基準適合条件は劣化によるひび割れや残り溝が1.6mm以下の(スリップサインが出ている)タイヤは車検をクリアすることができません。先述の通りフェンダーからタイヤのラベリング部分のはみ出しは10mm未満であれば問題ありませんが10mmを越えるはみ出しはオーバーフェンダーなどの装着が必要になります。
フェンダーに関しては車検証に記載されている車幅から20mm以内に収まっていれば問題ありません。20mmを越える場合には構造変更を届け出なければなりません。
ホイールはクルマの基本性能「走る」「曲がる」「停まる」を司る重要な部品であるため厳しい条件が定められています。ホイールが車体の内側に入っているか、ボディへの干渉がないかどうか、ホイールキャップが他車や歩行者に危害を加える形状になっていないかどうかなど細かい条件があります。また社外品のホイールに交換した場合、乗用車では「JWL」や「VIA」のマーク、バンなどは「JWL-T」のマークが入っているホイールでなければ車検をクリアすることができません。
命を支えているクルマの足まわりは車検の合格条件も厳しいのです。
サスペンション
サスペンションはスプリング式のサスペンションであれば基本的に交換は自由です。
ただし、ガタが無くしっかりと取り付けられていることが条件です。しかし、あまりにもスプリングが錆びていたりノーマルスプリングをカットして車高を下げた場合は車検不合格となります。また、サスペンションの種類を変更した場合には構造変更の手続きをしなければなりません。具体的にはスプリング式からリーフ式に変更したり、エア式をスプリング式に変更した場合には構造変更手続きが必要になります。
サスペンションは車検チェック項目の中でも自由度が高いパーツですが、自由度は高いものの車高を下げすぎたことによる最低地上高不足やタイヤとフェンダーの間隔不足にならないよう気を付けなければなりません。
運転席まわり
運転席まわりのチェックは運転操作に直結するため規定が厳しいです。
クラクションのホーンマークが付いていない場合は車検NG。シフトレバーのシフトパターンが明記されていない場合も車検NG。具体的にはマニュアル車であれば「1.2.3.4.5.R」などのことでオートマチック車であれば「P.R.N.D」などのことです。
ステアリングホイール(ハンドル)の形状は運転者が確実に操作できスピードメーターなどがしっかりと視認できれば車検の条件を満たしていることになります。ハンドルカバーをしている場合にはカバー部分が動かないよう固定してあれば問題ありません。
発煙筒は必ず車載しておかなければなりません。有効期限が切れている発煙筒はもちろんNG。近年増えてきているLEDライトを使った発煙筒は保安基準適合タイプであれば問題なく車検をクリアすることができます。
ナビゲーションモニターはダッシュボードに埋め込まれているタイプであれば前方視界を妨げることがないためインダッシュモニターは問題ありません。ダッシュボードの上に置かれているオンダッシュモニターの場合には2m先の6歳児を認識できるというイメージの基準に適合するようであれば前方視界が確保されているということで車検はクリアできます。
ヘッドレストに埋め込むタイプのモニターやサンバイザーに装着するモニターは強度検査を済ませた種類であれば車検をクリアすることができます。社外品モニター後付けの場合には保安基準に適合しているかを確かめておかなければなりません。
メーター内の警告灯などの表示、ライトやハザードなどのスイッチマークが見えるかどうかも車検条件のひとつです。スイッチマークが消えかかっている場合は車検NGになる可能性があるのでペイントをし直す必要があります。メーター内に総走行距離が表示されない場合も車検に通りません。クラシックカーなどの純正メーターに総走行距離の表示がない場合は当時の保安基準に従うため総走行距離の表示がなくても車検をクリアすることができます。
シート
シートに関する車検合格の条件はヘッドレストが付いていないシートやシートベルトが無いシートは車検に通りません。車検証に記載されている乗車定員分の座席とヘッドレストとシートベルトが車検に合格するための条件です。
例えば荷室を広げるために座席を取り外したりシートレールに加工をしてしまった場合には車検不合格となります。乗車定員の変更をした場合には変更手続きが必要になり車検証の乗車定員変えなければなりません。ただし、クラシックカーなどもともとヘッドレストが無い車両に関しては当時の規定に従うため車検に合格することができます。
ウィンドウ(窓ガラス)
ウィンドウ(窓ガラス)は大きく分けるとフロントガラス・サイドガラス・リアガラスの3面に分けることができます。
フロントガラスはフォルムやステッカーの貼り付けは原則禁止です。ただし例外があり、検査票ステッカーのみフロントガラスに貼り付けて良いのです。フロントガラスの真ん中上部に貼り付けられる車検ステッカーや助手席側上部に貼り付けられる法定12ヶ月点検のステッカーが検査票です。この2つのステッカーのみフロントガラスに貼り付けることができますが期限が切れているステッカーは速やかに剥がさなければなりません。
またフロントガラスが飛び石などでひび割れている場合にはフロントガラスの交換が必要になるケースもあります。小キズ程度であれば問題ありませんがクモの巣状に広がってしまった場合には車検不合格になります。
サイドガラスは運転席よりも前のガラスに関してはフィルムやステッカーの定められた範囲以外の貼り付けは禁止です。透明フィルムでも透過率が適合しなければ車検不合格になります。
運転席よりも後ろ側のサイドガラスとリアガラスに関しては着色フィルムを貼り付けることが認められています。ただし、あまりにも色が濃く車内から後方確認ができないほど色の濃いフィルムはNGです。
マフラー
純正装着のマフラーであれば車検の保安基準に適合しているマフラーが装着されているため穴開きや劣化などが無い限りは車検に合格することができます。
社外品マフラーに取り替えた場合には車検の保安基準に適合しているか確かめておかなければなりません。音量は普通乗用車で後部エンジン以外の接近排気騒音は96db以下、後部エンジンの接近排気騒音は100db以下。また触媒装置が取り付けられていて排気ガスが基準値を下回らなければなりません。
さらに最低地上高は90mm以上というのがマフラーに関する車検の条件です。ワンオフマフラーや保安基準に適合していないマフラー、錆びて穴が開いているマフラーは車検不合格となる可能性があるため注意が必要です。
車検の条件まとめ
車検はこれほど厳しい条件が定められておりすべてクリアしなければ車検に合格することができません。
車検不可のクルマを車検可にするためには車検をクリアできる条件や仕様に戻す方法、構造変更の手続きをする方法、改造車両として登録し直す方法などがあります。条件は厳しいものの保安基準に適合するような措置や手続きをしていれば車検をクリアすることは可能です。
ルールを守って楽しいカーライフを送りましょう。
[Dr輸入車ドットコム編集部]